【呪術廻戦219話】ウジ好きスクナは蠅の王ベルゼブブ
ハロー、エヴリワン。
わたしは呪術殺しのヒストール、よろしく。
『呪術廻戦』ネタバレ注意。これは219話考察というか、スサノオが蠅の王ベルゼブブとバラす記事。前の記事は「ハエの王のいない宇宙」。
いい時代になったのだな。女も子供も蛆のように湧いている━━1話
我々は共に“特級”という等級に分類されるようだ。俺と…虫がだぞ?━━8話
……いつの時代も、どこからともなく虫は湧く━━213話
「捌」「蜘蛛の糸」━━215話
ハエ。なによ、五月蠅いわねえ。実は、嵐神スサノオは、“暴食の大罪”を司る蠅の悪魔ベルゼブブ。日本神話は正倉院や雅楽のようにシルクロード的で、日本土着で完結していない。『古事記』はハッキリとスサノオを【悪神】【蠅の声】【妖(悪霊)を集める】と書いている。スサノオはイザナギに海の統治を任されたのに、山も河も海も枯らしてしまう。スサノオはアマテラスの神殿にウンコをしたり、天馬の皮をはいで神衣の機屋に投げ込み、機織り女を殺したりとやりたい放題。スサノオは根の堅州国(死者の国)に住み、呉公や蜂も使う虫の大神。ふるべゆらゆら。スサノオは中東神話の嵐神がモデル。シュメール神話の嵐神エンリル、アッカド神話(バビロニア神話)の四つ目の嵐神マルドゥーク、ヒッタイト神話の嵐神プルリヤシュ、そしてイスラエル側に嵐神バアル・ゼブルとして君臨。イランでは不浄の女魔ドゥルジ・ナスが地獄の洞窟より蠅の姿で来て、死体をむさぼり喰らい、死と伝染病をまき散らすとされた。しかし、LORDの預言者エリヤが奇跡勝負でバアルの預言者350名に勝ち、彼らを剣で皆殺しにした。またLORDがカルデアのルシファーに命じて、ソロモン神殿ごとバアルの祭祀を破壊させた。ナザレのイエスの時代、すでに四つ目の王は【悪魔の長ベルゼブブ】まで堕天。四つ目の王は、魔術書ゲーティアの【筆頭悪魔バエル】まで堕天。今ではルシファーが悪魔の長で、ベルゼブブは次席と思われている。いや、せいぜい小説の【蠅の王】。弱そう。日本が本当に近代化すれば、スサノオもまったく同じ末路をたどる。
四つ目。バビロニア創世記『エヌマ・エリシュ』。天と地にまだ名がなかった頃、エアの子四つ目のマルドゥークは、武器の風、三叉の矛、稲妻⚡、炎、弓矢、呪術で神竜ティアマトを倒した。嵐神マルドゥークはティアマトの遺体から天地を造り、【星>月>太陽】の順序で天体を配置した。マルドゥークはティアマトの子キングから人間も造った。そしてマルドゥークは下界にバビロンを造らせ、神々の王、天地の王、呪術の王として君臨した。こう言うと、マルドゥークは創造神に聞こえる。けれど元のマルドゥークは一都市の神。成り上がりは堕天する定め。ヒッタイト神話の嵐神テシュブは、竜神イルルヤンカシュに酒を呑ませて殺した。日本神話のエッセンスは中東神話から取られているので、嵐神スサノオに神竜ヤマタノオロチ退治をさせ、その尾から天皇の証、天叢雲剣(草薙剣)を奪わせる。四つ目の両面宿儺はヤマタノオロチを語る。おそらくスクナは呪霊ヤマタノオロチを退治したのだろう。元が元なだけに、独自の神話で【嵐>星>月>太陽】の順序を逆転させるのは難しい。イスラエルの聖なる方は嵐のバアル・ゼブブを制し、【太陽>月>星】の順序にした上で、日月星を崇めたら死刑と定めた。日本神話は聖書の神と天体順序も取り入れた。なので、太陽アマテラス>月ツクヨミ>嵐スサノオの順に。ただしそれはLORDなき不完全な順序。日本は嵐があらぶり、太陽をおびやかす環境にあった。
星の形。宙の形。神の形。我の形。天体は空洞なり。空洞は虚空なり。虚空には神ありき。
━━『Fate/Grand Order』
ソラ。新嘗祭は「天皇がその年の初穂を神饌として天神地祇に供え、天皇自身もそれを口にする儀礼」。天地の王、四つ目のマルドゥーク神のような両面宿儺は、新バビロニア王国であればまさに天地を統べる神、星月日を定める現人神な王だっただろう。貴族らしい二人はどうやら神話の知識がないようだ。今までは藤氏と略していたが、「藤原北家」と表記され「日月星進隊」「五虚将」が語られた。218話では「五虚将」のふりがなだったように「虚」は“クウ”や“そら”や“うろ”と読む。「空」の術師、日月星進隊隊長のウロ・タカコも「虚」と書ける。神話ではソラは「虚空」と書かれている。芥見下々が好きな『BLEACH』の「虚」「大虚」に、型月の「虚空」「空」「ソラ」。空海が最高の仏としたのは明けの明星な「虚空蔵菩薩(明星天子)」。最澄が薬師如来像を彫ったのは「虚空蔵尾(明星尾)」の木。伏黒恵の領域展開は薬師如来印。「明星」は金星のことだけれど、字から日と月と星を兼ねる。日本の虚空では四つ目のスクナに勝てない。日本は、明星天子をサタンと定めていないし、四つ目の嵐をベルゼブブと定めていないからだ。
フクウ。聖書では空の太陽や月や星を拝んだら死刑で地獄行き。空の術師は日月星進隊の隊長で死刑囚。天地創造では「空」の造られた第二日だけ「良し」とされず、祝福もされない。第四日の空は「大きな二つの光」が造られるけれど、太陽も月も創造されない。エルフとドワーフの火付け役トールキンは、「二つの木」に宿る光を真の光とし、太陽や月を狂った光とした。エルフとドワーフのオリジン、北欧神話では「太陽の女ソール、月の男マーニ」が空の神を装った大罪人。シンデレラの継母は春と共にやって来て、空にイジワルな「二人の娘(太陽と月)」を連れてくる。日の神アマテラスと月の神ツクヨミはウソだった。空を支配していた明けの明星は、呪われしサタン。仏教で空、空海、虚空蔵、色即是空などと言いつつ、実際は「不空」が空より上。藤原氏の氏神は雷神タケミカヅチで、その女仏版が「不空羂索観音」、略して羂索。呪術師の羂索はまず藤原氏だろう。外の世界でシェアされている雷のパワーは藤原氏が独占。きたないさすが藤原氏きたない。
カミナリ。東大寺「羂索堂」の秘仏は執金剛神。これは菅原道真の化身とされ、雷神ゼウスまたは雷神ゼウスの子ヘラクレスがモデルとされている。羂索は雷の観音で悠仁のママ。雷と言っても属性を超えた力、万物を構成する雷で、Rで示される。雷は地水火風の「アース(earth)」「ウォーター(water)」「ファイア(fire)」「エア(air)」のように、四元素すべてに宿る。仏道のサンダーボルトな武器は「ヴァジュラ(vajra)」。羂索ことアモーガパーシャ(Amoghavajra)は雷の観音。五条悟の掌印インドラ(Indra)は雷の帝。漏瑚の掌印ルドラ(Rudra)。十二神将の摩虎羅大将から来るマコラ(Mahoraga)は、やっぱり道真の化身とされている。雷のフジワラ。雷のスガワラ。雷避けのクワバラクワバラ。スクナの式神召喚はなぜか雷の鵺だけ超デカい。不空と雷のらりるれろを一般化しないと、日本の空と日月星と地水火風は歪んだままだ。
饒速日命、天磐船に乗りて、太虚を翔行きて、是の郷を睨て降りたまふに及至りて、故、因りて目けて、「虚空見つ日本の国」と曰ふ。
━━『日本書紀』巻第三 神武天皇