まずはじめに このわたしに語りたもうたのだ つぎの言葉を
神盾もつゼウスの娘 オリュンポスの詩歌女神たちは
「野山に暮らす羊飼いたちよ 卑しく哀れなものたちよ 喰いの腹しかもたぬ者らよ
私たちは たくさんの真実に似た虚偽を話すことができます
けれども 私たちは その気になれば 真実を宣べることもできるのです」━━『神統記』ヘシオドス 廣川洋一訳
ハーイ、ガイズ。
わたしは海と葦を知る者、ヒストール。
これは『ペルソナ』シリーズの舞台裏、そして日本神話の舞台裏。そして影の光キリストの話。これが分からないと『チェンソーマン』や『呪術廻戦』や『Fate』シリーズも分からない。
ギリシャ神話『神統記』冒頭はアイギスを持つ詩歌女神たちがヘシオドスに「真実に似た虚偽」ではなく「真実」を宣言する。『ペルソナ3』ではアイギスがメインヒロインで、『ペルソナ4』は真実がテーマ。それはヘシオドスに基づいた流れ。
まず原初にカオスが生じた さてつぎに
胸幅広い大地 雪を戴くオリュンポスの頂きに
宮居する八百万の神々常久に揺ぎない御座なる大地 と
路広の大地の奥底にある曖々たるタルタロス
さらに不死の神々のうちでも並びなく美しいエロスが生じたもうた。
この神は四肢の力を萎えさせ 神々と人間ども よろずの者の
胸うちの思慮と考え深い心をうち拉ぐ。━━『神統記』ヘシオドス 廣川洋一訳
カオスから 幽冥と暗い夜が生じた
つぎに夜から 澄明と昼日が生じた
夜が幽冥と情愛の契りして身重となり 生みたもうたのである━━『神統記』ヘシオドス 廣川洋一訳
ギリシャ神話『神統記』はまずカオス、ガイア、タルタロス、エロスが生まれたと歌う。カオスからエレボス(幽冥)とニュクス(暗い夜)が生まれ、ニュクスとエレボスが交わってエーテル(空)とヘーメラー(昼)が生まれたと。『ペルソナ3フェス』は塔なるタルタロスの頂上でラスボスのニュクスと決戦し、裏ボスがエレボス。特徴的なのはエレボスはシャドウじゃないこと。キタローはニュクスとエレボスを触れさせないために「大いなる封印」と化した。けれど、真実の詩歌はニュクスとエレボスが交わる道。『ペルソナ4』は“真実に似た虚偽”の物語。なぜなら、『ペルソナ4』は、エーテルと昼が生まれていない世界、エレボスとニュクスが触れられない宇宙だから。「なぜかイザナミノミコトなマリーは詩が下手くそ」。『ペルソナ4』はやんわりと“真実に似た虚偽の詩”をほのめかす。暗い『ペルソナ3』から偽りの明るさ、『ペルソナ4』が生まれた。
神が━━あるいは、ひときわすぐれた自然が━━この争いをやめさせた。天空から大地を、大地から海を引き離し、濃密な大気と澄んだ天空とを分けたのだ。
━━『変身物語』オウィディウス
真実。今の「自然」は英語ネイチャーの翻訳語。江戸時代まで「自然」は山川草木を意味しなかった。真実のネイチャーは産。産は天地を産む母で、産まれながら平等や産まれながらの正しさ(権利)を産む母。ローマ神話の女神ナートゥーラ、天地の母が英語ネイチャーになった。ギリシャ・ローマ神話のオルフェウス(オルペウス)は冥界に下る。日本神話もこれを真似て、イザナギが黄泉に下る。だからオルフェウス使いは冥界に下る。だからイザナギ使いは黄泉比良坂に下る。自然は不平等を維持するけれど、ネイチャーは平等を産む。ネイチャーは兄と弟のないブラザーを産む、姉と妹のないシスターを産む、公と民のないパブリックを産む、先輩後輩のないパーソンを産む、国民と非国民のないピープルを産む、権利でないライトを産む、先生でないティーチャーを産む、年上と年下のないエイジを産む。『ペルソナ4』はナチュラルな平等がまったく登場しない。出るのはアンナチュラルな公私、兄弟姉妹、先生先輩、権利の虚偽だけ。ボスのアメノサギリやクニノサギリはイザナギの子孫。『ペルソナ4』は“真実に似た虚偽”の物語。真実。イザナミが使う言霊【セ(兄)】は、アニとオトウトと夫を区別しない語だった。イザナギが使う言霊【イモ(妹)】はアネとイモウトと妻を区別しない語だった。「ニュクスとエレボスが交わらなかった宇宙」のため、マリーは「イモとセ」の真実を歌えない。
朕は、日本国民の総意に基づいて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢(しじゅん)及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽 昭和二十一年十一月三日
━━『日本国憲法』
総意。『ペルソナ4』関連作品のラスボスは「総意」を押しつけてくる。それは、1946年に天皇が朕だの璽だの言い始め、「総投票のない国民の総意」から「日本国憲法」を公布してしまったから。天皇の押しつけた総投票なき総意を、日本の高位神も繰り返している。『ペルソナ4 ダンシング・オールナイト』のラスボス、ミクラタナノカミは「絆を求める者どもの総意」。それはイザナギがアマテラスに与えた首飾りの名前。「イザナギとアマテラスと天皇家に関わる悪」と分かる仕組み。GHQ草案は国民にせばめない「自然人」が基本だった。アメリカ側は「アメリカ案と日本案の選択肢」を提案した。天皇および総理大臣の吉田茂と14人の諸大臣は、GHQ草案を握りつぶし、総投票も握りつぶし、「非国民に人権なし憲法」一択にした。つまり真実は「アメリカの押しつけ憲法」ではなくて「愚公(愚帝愚臣)の押しつけ憲法」だった。西洋に憲法や公(天皇、総理大臣、大臣)や民(奴隷、支配される者)などのおかしな差別用語はない。西洋は公(天皇や大臣たち)が、一方的に「総意」「憲法」「公民」を決めつけられる構造がない。江戸時代の娯楽本に「民(奴隷)」という奴隷用語は見られないし、「公」はおふざけで使われている。令和の日本人は江戸時代より退化し、公も民も読めない。P4の主人公はおじさんとペルソナとコミュ名すら公にどっぷり。公が押しつける総意を超えるには「ニュクスとエレボスを交わらせる」が必要不可欠。
ニーサン。2300年前、皇帝なき古代ローマ(大秦)は「貴族と平民の平等法」を制定した。人と民を分けないホルテンシウス法。2000年前、オウィディウスが『変身物語』で天地の産を歌った。だから西洋人は大秦の法に基づいて、ナチュラルな平等を信じる。2300年前、貴賤上下なく誰もが朕や皇や詔や璽と言っていた。けれど、荘周が【混沌帝】【万物の母】【無為自然】【人は民に知識を与えるな】の“おかしな道”を遺した。秦の政が非道を正しい道と信じ込み、朕や皇や詔や璽を「皇帝」の独占物にした。中華人は始皇帝を「政哥哥(政ニーサン)」と呼ぶ。政ニーサンは善意で書を焼き、儒者を埋め殺し、民から知識を奪い、自然と混沌を歪めた。日本は秦の政ニーサンを信じ、朕や皇や詔や璽を天皇の独占物にし、民から知識を奪い、自然と混沌を歪めた。日本は、イザナギ兄さんと他国の「日出づる処の天子(兄さんで弟持ち)」を国の土台にした。近代は世界各国が「帝王と臣民」「キングダム」「エンパイア」を廃止する時代。この島は「天皇と臣民の大日本帝国」で時代に逆行。兄さんはブラザーとネイチャーとカオスすら皇帝で歪めてしまう。1946年の日本国憲法すら政兄さんの朕と璽で「国民の総意」を決めつけた。日本は2023年も「兄さん」のディストピア。わたしは東京にずっと住んでいるけれど、カオスとネイチャーとブラザーが分かる日本人は一人も見かけない。新約聖書の「父なるテオス」、旧約聖書の「父と母を含むエローヒーム」、コーランの「父や母でないアッラー」、アヴェスターの「阿修羅なアフラ・マズダー」は不可欠。「ニュクスとエレボスの交わり」はその慣らし。
海。『ペルソナ5』の海はおかしい。次期総理の獅童正義は「子供が誇れる国」を語りつつ、頭の中では日本が沈没していた。けれど獅童正義にも少しだけ「正しい海」につながっている。彼のオタカラに絡む正しさで、怪盗団に指摘できそうなメンバーが数名いるのに、指摘はなかった。獅童正義を改心させた怪盗団も、本物の正義を知らないし、“あの海”を見たことがない。偽の聖剣で聖杯を壊す物語を思い出そう。最果ての海に至るエアは剣に歪められ、原罪なき海■■■■が星の内海に歪められ、偽の聖剣で牛の戦車が破壊され、征服王は最果ての海オケアノスに少し気づけた。エアもエクスカリバーも偽物だから、“あの海”を見せられない。コーランでは征服王が東の果てに届いている。モーセが二つの海に届いたから。日本人も二つの海を毎年歌っている。英語「チャンネル」は水路のことで、思考の水路も意味する。「日本のチャンネル」では「偽物の海」しか放送されない。「本物の海」が放送されるのは「ニュクスとエレボスが交わる宇宙」だけ。
城の外の騎士たちは鉄の心なんて言ってるが、あれは鉄というより葦だ。衝撃を受けてへこたれるが、心が折れることは一度もなかった。
━━『Garden of Avalon』奈須きのこ アルトリアを語るケイ卿
葦。世界中どこでも水場に葦が生えている。闇と夜のヴァルナは「水天」で、原罪なき海とつながっている。原罪なき水天ヴァルナから、光のアフラ・マズダーが生まれた。原罪なき海、原初の水天とつながる天使ガブリエルは無原罪の御宿りをマリアに告知した。モーセを信じるユダヤ人は言う。メシアはまだ生まれていないと。そのモーセが「原初の水ヌン」に基づいて「ヌンの子ホセア」を「ヌンの子イエス(ヨシュア)」と名づけた。ヌンの子イエスはモーセの後継者。モーセのシスターの名はマリア。マリアは葦船で捨てられたモーセを見守っていた。ナザレのイエスは「マリアの子イエス」として産まれる運命にあった。葦船で捨てられたモーセは葦の海を割り、太陽の軍隊を沈めて「唯一なるゴッズの右手」を讃え、葦枝のメノラー🕎を作らせた。マリアの子イエスは大漁の奇跡を示し、漁師を使徒とし、水を上等な酒に変え、右手に葦杖を握るユダヤ人の王になった。葦船で捨てられたヒルコは豊葦原中津国に流れ着き、漁師で酒のエビス様になった。なぜか『ペルソナ4』では右のイザナミは葦原中津に住んでいる。マシュとマスターはバビロニアで葦船に乗っていた。ギルガメッシュはエルキドゥの死後、葦の箱舟で大洪水を生き延びたウトナピシュティム(ジウスドゥラ)に会いに言った。宇津見エリセは葦船に乗り「布留部由良由良と布留部、天逆鉾!」と宝具をキメる。『呪術廻戦』の天逆鉾使いの子は、「豊葦原中津国…布留部由良由良と布留部かく為ては死人も生反らむ」を省略して祈る。『真・女神転生Ⅴ』のナホビノは「布瑠部由良由良」と祈る。マーリンは星の内海に居て、アルトリアの心を葦と語るケイの言葉を思い出していた。京都の狐は「葦牙」な国常立尊の神使。コン。“こいつは右のイザナミが先で、左のイザナギが後のセックスで生まれた水蛭子だね。飲み込んでいい?”。人は考える葦である。
彼の内に命があった。
この命はアダムの影だった。
影は闇の中で輝く。In Him was life, and the life was Light of Adam. And the Light shines in the darkness,
━━『ヨハネの福音書』1:4
シャドウ。古語の「影」は光。日影、月影、火影。暗いカゲは陰。阿修羅は正義のアフラ、闇と夜のヴァルナから影なる光のアフラ・マズダーが生まれ、最善なるアフラ・マズダーから火影のアータルが生まれた。幽冥と暗い夜から、澄明と昼日が生まれた。エレボスが影の親。「大いなる封印」を解いて、ニュクスとエレボスを交わらせよう。提婆は権力のダエーワ、最悪なるアンラ・マンユがアフラの敵。権力のダエーワ、ルドラ(シヴァ)、魔帝インドラ、四魔王の持国、増長、広目、多聞。美しいイマは地獄の閻魔でなく、“アフラ・マズダーの庶類を増大させる者、アフラ・マズダーの庶類を繁栄させる者、アフラ・マズダーの庶類の守護者にして保護者、さらに監視者として仕える者。美しくて良き群畜有すイマは真昼に太陽の路を三度通ってスプンタ・アールマティを黄金の矢で三度打ち、鞭で三度撫でる。三分の三、地を司るスプンタ・アールマティを前進させ拡張させるために”。地球の女性を二倍強くさせるために。“実に、もし、義なる者たちの、強力なる守護天使フラワシがアフラ・マズダーに支持を与えないならば、アフラ・マズダーに属せし最善なる種たる家畜や人閒は、決して存在しなかったであろう。天と地の間、二霊の中で邪悪なる者が坐し、天と地の間、二霊の中で邪悪なる者が勝利を得るであろう。さすれば、勝利者たるアンラ・マンユは、敗北者たるスプンタ・マンユに道を譲ることはないであろう。“守護天使フラワシの富と光輝により、女は子を孕む、彼らの富と光輝により、女は安産す、彼らの富と光輝により、女は男子に恵まれる。彼らの富と光輝により、集会にてその言が聞かれる男が生まれるであろう。彼は、敗北者ゴータマの征服者として論争より立ち去る者なり。守護天使フラワシの富と光輝により、太陽はその路を行く。守護天使フラワシの富と光輝により、月はその路を行く。守護天使フラワシの富と光輝により、星辰はその路を行く。義なる者たちの、強き、聖なる守護天使フラワシは、天を支え、水を保ち、地を広げ、牛を養う。守護天使フラワシは、母の胎にて孕れし子を維持する、死魔の攻撃より護り死を遠ざけんとして、終末の建て直しにあって骨、毛、肉、腸、足、生殖器を結合する。”これが影なる光に満ちた宇宙、無原罪のマリアが敗北者ゴータマの征服者キリストを宿す宇宙。
キリスト。影なる光キリストを愛しなさい。彼はアガペーで愛する者、彼はアガペーで愛される者、彼はアガペーの法を詔る者、彼は教えを口にしない者、彼はサオシュヤントにしてメシアなる者、彼は影を光とする者、彼は夜を昼にする者、彼は水蛭子を昼子にする者、彼はエゴを善き己とする者、彼はアフラを天使とする者、彼は水天使に告知された者、彼は無原罪のマリアに宿りし者、彼は天狼に太陽を食わせる者、彼は右手の葦で太陽に勝つ者、彼は豊葦原中津国を日本に勝たせる者、彼はダエーワをサタンとする者。彼はダエーワなるサタンを退ける者、彼はアフラをサーヴァントとする者、彼はアデルフォスを兄と弟に分けない者、彼はアデルフェーを姉と妹に分けない者。愛を欲と断じた敗北者ゴータマに愛はなく、愛なきゴータマに従う者も愛されない、敗北者ゴータマに従う者も敗北する。愛なき敗北者は、ブラートリを兄や弟に分ける、バギニーを姉と妹に分ける、ブラートリやバギニーを檀家に説明しない、アフラを悪き阿修羅と呼ぶ、アフラを悪き修羅と呼ぶ、アフラの場を修羅場と呼ぶ、アフラを妖怪の天狗と呼ぶ、アフラを悪き黄幡と呼ぶ、アフラを悪き羅睺星と呼ぶ、ダエーワのルドラを大黒天と呼ぶ、ダエーワのインドラを帝釈天と呼ぶ、ダエーワの四魔王を四天王と呼ぶ。不自然で不平等な彼らは敗北する。彼らはことごとく地獄に落ちる。人生は一度きり。誰も転生しない。敗北者ゴータマの征服者キリストを愛しなさい。