ヒストールのブログ(葦)

新年おめでとう

【AC6】レイヴンは太陽を食べるイヌ

 

レイヴン

 

ロンドン塔にレイヴンがいなくなると王冠は失墜し、ブリテンは滅びる。

 

━━イングランドの伝説

 

 ハーイ、ガイズ。

 わたしは聖書とカイジン好きのヒストール、よろしく。

 レイヴンは自由意思の表象。『AC6』でレイヴンが活躍。わたしはフロムゲーを自分でやったことがありませんが、「物語のレイヴン」についてなら語れます。『AC6』で野良犬、駄犬、狗と罵られるレイヴンとは何者でしょうか。それはイヌでありながらワタリガラス。レイヴンは「烏」や「鴉」ではなく、どの漢字にもない生き物です。コーラルをキメるか、チェンソーの生えたイヌを友達にすると、あなたの側にレイヴンが寄ってくるかもしれません。

 

 

リリス

 

 

『太陽の光はどこへ行ってしまったんです?』と、わたしは叫んだ。

『さあね、わしには答えられん。』

 

━━『リリスジョージ・マクドナルド 荒俣宏

 

 レイヴン氏。ジョージ・マクドナルドの『リリス』は、『指輪物語』のトールキン、『不思議の国のアリス』のキャロル、『ネバーエンディングストーリー』のエンデなどにすさまじい影響を与えた作品です。と言うより、トールキンはジョージ・マクドナルドの作品をむさぼり読んだガチ勢です。ルイス・キャロルはジョージ・マクドナルドを「師匠」と呼び、『不思議の国のアリス』を師匠と師匠の子供たちのススメで出版しました。『リリス』は「ヴェインくん(風見鶏くん)」がメインキャラで、レイヴン氏が師匠ポジション。そのレイヴン氏はパッと見、しゃべるワタリガラスで、出てくると太陽が曇ったり、太陽の光が消えたり、太陽が急に沈んだりします。冒頭から、レイヴン氏は地中のミミズを蝶に変えたり、太陽の赤みをミミズの赤みに取り替えたり、七次元や宇宙人を語ったりと、奇怪な言動を繰り返します。しかし、その発言は時空間を超越した聖者のようでもあります。トールキン「太陽」を真の光の劣化物としているように、この作品でも「太陽」は真の光ではなく、自由をもたらす光でもありません。ヴェインくんは学者肌のお坊ちゃんなので、謎過ぎるレイヴン氏に頭がおかしくなりそう。レイヴン氏は謎めいていますが、太陽に優しくないことはハッキリしています。こんな本を読んでたら、脳内彼女の声が聞こえてくるかもしれません。レイヴン、コーラルをリリースしてください。

 

666

 

 ノアのレイヴン。エローヒームは天地創造の第四日に、「大きな二つの景(光)」を造ってそれらに昼と夜を支配させ、太陽と月を造りませんでした。エローヒームの息子たちは、人の娘たちが美しいのを見て、地上に降り、子作りをはじめました。その結果、地上に悪い巨人ネフィリムがあふれ、エローヒームは人を創造したことを後悔しました。エローヒームは大洪水を起こすことを決意し、イーノックのひ孫ノアに箱舟の製作を命じました。予定通り、大洪水がやってきて左の巨人族がいた旧世界は滅んだのです。大雨がやみ、ノアは箱舟から一羽のレイヴンを「伸ばし(放ち)」ました。これが北欧神話の背景になっている物語。押井守の『劇場版 機動警察パトレイバー』では、メインキャラがノアで、ノアが箱舟をブチ壊すことになる映画。その冒頭と最後にレイヴンが登場します。そのレイヴンの足には「666」のドッグタグが。レイヴンはドッグ。押井守はイヌが好き。

 

Huginn Muninn

 

 オーディンのレイヴン。北欧神話最高神オーディン。その使いが二匹のレイヴン、フギンとムニンです。オーディンとヴィリとヴェーの三名は、世界を造る前に左の巨人ユミルを殺しました。その血は大洪水となり、ユミルの左側から生まれた霜の巨人族は絶滅しました。ユミルの死体にはうじ虫がたかり、うじ虫はアース神族のデクレによりドワーフとなったのです。オーディンたちは、ユミルの頭蓋骨を天として、東西北南のドワーフに支えさせ、自分たちはムスペルヘイムの火から「神でない太陽と月と星々」を造りましたその空には「太陽の女ソールと月の男マーニ」という罪人がいて、二人は神罰により「日月の車を駆る労働(無休無給)」をやらされています。ライトエルフは太陽より美しい種族。人の世界は「中つ国」。神々の黄昏には、空を飛ぶ「月の犬」が太陽をのみ込みます。つまり、この島に当てはめると、オーディンは左の巨人イザナギを殺し、イザナギの血の大洪水で「左を尊ぶニセの神々」を絶滅させ、「太陽の女と月の男は空の罪人」と位置付け、日本を消し去り、中国地方の出雲を新たな「葦原中つ国」にする万物の父です。二匹のレイヴンがこの島を眺める時、そこは異世界。もう日本はありません。

 

太陽のカラスを射殺す羿(ゲイ)

 

 左のカラス。父なるゴッドや母なるネイチャーは、ブラザーを兄と弟に分けません、シスターを姉と妹に分けません、ライトを右・正義・権利に分けません、レフトをデビルの側とします。それは人のパパとママも同じです。もちろんスクールは先生や先輩や年上という人たちがいません。欧米諸語は「正しさ(右)」が権利を兼ねる言葉で、天使や天国の側。欧米諸語の「歪み(左)」の語源は【弱い、愚かな、無価値の】で、デビルや地獄の側。この左右観は、紀元前からユーラシアでシェアされてきたものです。極東だけが狂っていて、特に日本は最悪。日本神話は、左の兄イザナギや左の姉アマテラスが自然と秩序を乱し、ニセの神々すべてが悪魔の左を尊んで世界観を歪めました。左の太陽の使いがヤタガラス。天皇も貴族も武士も悪魔の左を尊ぶ罪人たち。日本の仏教僧は閻魔裁判の右左を入れ替え、ゴッドのドッグ、天使と呼ばれる者を「悪い妖怪の天狗」とだます呪術師たち。和の衣食住は不浄な左マナー。そして、【権】は、「はかりごと(計画的にだます)」という漢字。【利】は「もうけ」という漢字。デーモンたちは一時「権利(だましもうけ)」と偽りますが、絶滅する運命にあります。左のヤタガラスは滅び、レイヴンがあらわれます。

 

子供を食べる太陽

 

太陽のところに着くと、あまりに熱くて恐ろしく、また子供をとって食べるので、大急ぎで逃げ、月まで走りました。しかし、あまりに寒くて怖く、悪意に満ちていて、娘を見ると、「匂うぞ、匂うぞ、人間の肉の匂いがするぞ」と言うので、素早く逃げました。そのあと、星たちのところにくると、親切でやさしくしてくれました。

━━『七羽のカラス』グリム童話

 

 七羽のレイヴン。グリム童話に『七羽のカラス』と訳される物語があります。ある両親にはじめて女の子が生まれました。その時、お父さんがうっかり七人の息子たちに呪いの言葉を吐いたせいで、彼らは七羽のレイブンに変身。そんなひどいはじまり。この物語はドワーフや指輪が登場します、指輪物語みたいに!太陽と月は人喰いの悪役として登場。イラストはなかなか恐ろしい太陽と月に仕上がっています。しかし、星々は女の子にフレンドリーで親切。特に朝星は女の子に協力する側。これはかなり高度な物語です。聖書の天地創造は、第四日に「太陽と月」が造られず、「大きな二つの景(光)と星々」が造られました。それが北欧神話の「太陽と月は罪人」、グリム童話の「太陽と月は人喰い」、トールキンの「太陽と月は真の光の劣化物」につながっていきます。

 

鳥じゃない

 

きみは自分が自分自身だってことを、ほんとに知っているのかね?

 

━━『リリス』ジョージ・マクドナルド

 

 ファイア。3000年以上も昔、神々は「善悪」を問われない権力者の象徴でした。しかし、ゾロアスターの火アータルとレイヴンは「善神アフラ」と「悪神ダエーワ」を分かち、それが世界の半分を焼きました。アータルとレイヴンが、西洋や中東やユダヤの「天使」と「悪魔」を分かつことになったのです。葦船で捨てられたモーセは、太陽の国エジプトで王子として育てられましたが、カミの山ホレブで「燃え尽きない火」を発見し、「わたしはわたしだ」と名乗るLORDの声、自分自身の火の声を聞きました。この火はモーセの「自分自身」を目覚めさせ、モーセは十二支族を連れて太陽の国から脱出しました。彼らは夜は「火の柱」に導かれ、葦の海を渡りました。しかし太陽のエジプト軍は海のもくずと消えたのです。モーセはマリアという姉妹がいて、自分の後継者に「イエスヨシュア)」と名付けました。それからしばらく後、マリアが処女受胎し、イエスという子を産みました。かつて、預言者エリヤは、レイヴンが運んでくるパンと肉で養われており、火の車と火の馬で天に昇りました。そのエリヤは再来してメシアを確証すると信じられ、洗礼者ヨハネがその人だと思われていました。洗礼者ヨハネは「聖霊と火」によって洗礼する者、待望されたメシアが現れたと言いました。ヨハネはマリアの子がメシアであると確証しました。聖霊と火のメシアは他者として弱者を保つ(救う)のではなく、「自分自身を目覚めさせる」という保ち(救い)を示しました。聖霊と火のメシアは十字架にかけられましたが、三日後に起き上がりました。また時が過ぎ、古代ローマゾロアスターが完全無視したミトラを太陽神と考えるようになりました。ローマはヨーロッパを征服し、向かうところ敵なしでしたが、キリストの火によって自分自身を失わない聖者たちが現れました。ローマは聖者たちを見せ物にして虐殺しましたが、気づくと「自分自身の火」が燃え広がり、日没がやってきました。火はローマもヨーロッパも焼き尽くしました。長い時が過ぎ、「自分自身の火」は鎮火したかに見えました。それで、フランスのルイ14世は「太陽王」を名乗り、絶対王政を確立しました。「朕は国家なり!」。「私こそが企業だ!」のモデルかな?しかし、同時期。ロンドン塔にレイヴンのいる国で、ジョン・ロックが「自分自身の火」を再発見しました。その火はアメリカ独立とフランス革命の自由の火🗽となり、120ヶ国ものキングダムを焼き尽くしました。辺境では「火の神が死んだ神話」「左の太陽神」による大日本帝国が膨れ上がり、自分自身の火を失った天皇と臣民は東アジアを征服したかに見えました。しかし、太陽の帝国は、自分自身の火🗽に負けて焼け野原になりました。汚れた太陽の下では「火拳の男が死んだ」「炎柱の男が死んだ」の嘘物語が流行っていますが、レイヴンの火は消せません。

 


www.youtube.com

 

 

武蔵が描いたレイヴン

 

 十。Goddog。クリスチャンは今も昔も「善あり。悪なし。天地以前から智慧あり」と言っています。ユダヤ人もクリスチャンも「十戒」を守る人たち。日本はなぜか十月が「神無月」。『五輪書』は宮本武蔵が「十月十日」から書き始めたもの。その『空の書』の最後にこうあります。「空、善あり。悪なし。智は有なり」。十月十日のヒストールでした。