【寿エンパイア】「未来寿司」がホントにすごい!!
2022年1月19日の記事
昭和天皇
「日本精神というのは、いわゆる日本精神で排他的のものではあるまいか」
━━『西園寺公衡と政局』第四巻28〜29ページ
ハロー、ガイズ。
わたしはクルアーンと聖書と寿司好きのヒストール、よろしく。
これは『寿エンパイア』の93話と94話語り。いきなりこの寿司漫画のここだけ書くのも何だけど、あまりに「未来寿司」のメッセージが面白くてアメージングなんで記事を書く。
大衆といっしょに、いわゆる江戸前のすし屋の雰囲気の中で召し上がっていただけたら、どんなにいいことだろう。
━━『味の散歩』秋山徳蔵
「未来寿司」は他者だ。まず、読み手にとっての他者━━ヒストールは寿司🍣も皇室用精進料理も好きだ。わたしは神業なる料理人、秋山徳蔵━━「天皇の料理番」で有名な人━━が好きだ。わたしは後年の秋山さんが昭和天皇のために「新富寿し」の修行に出たことも好きだ。昭和天皇は立場上、自分の自由意志で寿司を食べられなかったからだ。こんな話をするのは、『寿エンパイア』の「未来寿司」が誤解されやすく、否定されやすいから。わたしは「天皇制廃止」の話を書くので、わたしが皇室文化を何も知らないと誤解する人もいるだろう。わたしは皇室御用達はもちろん、皇族が忘れてしまった古い皇室文化に深く触れている━━。
さて。
「未来寿司」は他者だ。
93話。トゥモロー・ワールド。
主人公と対戦する盛山龍平の調理シーン!?
いきなり寿司マシンで謎の培養を見せられる!
これ、黒鮪です。
盛山龍平は北関東生まれの天才で、通信系IT企業に就職し、子会社を設立し、役員になり、株主になって退職したキャラクターだ。天才で大金持ちで、世界中に50の家があり、あらゆる美食と酒と女遊びにふけったメガネ日本人━━およそ読者の共感を呼ばないキャラクターだ。そんな何でも持ってる彼だが、退屈すぎて何も感じなくなった。心が空虚になった彼は故郷の山に帰り、地元の寿司を食べて生き返った。「旨い!」。どうして海から離れた山の寿司が旨いんだ?世界中の旨い料理に負けてないんだ?すさまじい手間ひまかけられた心の寿司。龍平は寿司屋さんに頭を深く下げた。「私に寿司を教えて下さい」。魚河岸の魚、地元の冬の水、炊きたてのシャリ。「俺には寿司しかない」。こうして盛山龍平は寿司一筋の男になった。しかし、天才な龍平、技術面で地元の寿司をマスターしてしまう。龍平が自分の店を建て、自分の寿司を握る日が来た。最後の教え。「寿司屋は客商売です。客は技術を食べに来るんじゃないんですよ」。
心です。
それだけは覚えておいてください。
龍平の心は四角いキューブだった。
何じゃこれ!?
発想が面白い!
どうやら龍平は地球🌏の人びと、大気圏外にいる宇宙飛行士にもおいしい未来寿司を食べてほしいらしい。なんてスケールが大きいんだ。
すでに「培養鮪」は始まっていた。龍平は、ニューヨークの先駆者から培養黒鮪を頂く。(´~`)モグモグ。これは間違いなく鮪ですね!
さらに面白いのが、この研究チームの心が「将来は人間が動物を食肉目当てで殺す事をなくしたいです」なこと。低レベルな漫画なら「科学的な料理人」にこんなテーマを持たせない。ただ、肝心な培養黒鮪の「味」はまだまだ…。
龍平が3Dプリンターを用いた「ハニカム状(ミツバチの巣)」のアイディアを提示した。中トロ研究はいっきに花開いた。ワーオ。いける!いけるぞ!
研究の成果。龍平はサイバーな格好をしてる助手からキューブを受け取り、地元で仕込まれた握りで寿司を完成させる!
ダンッ。94話。メッセージ。
「細胞培養鮪の握り」です!
審査員は三人。うち二人は好意的に食べてくれたが、一人は「自然に対する敬意に欠けている。培養液に浸かった状態を見せられて食いたいとは到底思えんよ!」と拒絶する。うん、当然の反応。しかしすでに3回戦。龍平は想定済みの拒絶にどう返すか。
龍平は「命の授業」の問題を提起する。
小学生に子豚を育てさせ、大きくなったら食べさせる授業。
自然とは何ですか?
今の時代は食物はほぼ全て、
人間に都合良く、
何らかの品種改良が
行われた物ばかりです。
例えば養殖の魚です。
人間に食べられる為に生まれて死んでゆく命。
牛も豚も鶏も劣悪な環境下で
食べられる為に生まれ死んでゆく。
どこが自然ですか?
培養肉とどちらが人道的なのかは言うまでもありません。
鳥インフルエンザ。
豚インフルエンザ。
BSE(※牛海綿状脳症。牛の脳がスポンジ状になる死病)。
これらパンデミックなき世界を。
環境破壊なき世界を。
水産資源を枯渇させない選択を。
食べられる為に生まれる命をなくす事ができます。
盛山龍平は提示した。
かつてテクノロジーが馬を苦役から解放し街を救ったように、
培養肉はこの地球の多くの問題を解決できるかもしれないのです。
育てた豚を食べる時使われた
「私達人間は他の生き物を食べる罪深い生き物なのです」、
「だからこそ生き物を大切にいただきましょう」というロジック!
食べられる側はたまったもんじゃありません。
罪なぞ最初から背負わないほうがいいとは思いませんか?
三人目の審査員は培養鮪を食べた。
さて。盛山龍平のテーマはすでに勝敗や主人公を超えてる感じがする。おいしい寿司から環境問題と解決案を提示できるなんてマジすごくね?リスペクト!で、主人公、ハワイ育ちの松田湧吾は何を見せてくれるのか?
ドンッ。
「ウツボのロール寿司」です!!
ウツボ!?何か凶悪なモンスターじみたイメージしかないんだが!うまいのか?
ここで引き。
わたしは正しいとか間違ってるとか以前に
「勇気」で判断する。
「情熱の量」で判断する。
「発想の面白さ」で判断する。
何を言ってるかは全て後回しだ。
わたしは『寿エンパイア』の盛山龍平の全てに同意していない。その勇気、情熱、斬新な発想━━作者に敬意を払っている。芸術すごい漫画くだらないとか、自分自国だけが正しいとか、自分の世代だけがすごいとか、自分の宗教/無宗教のカラに引きこもりたいとか、わたしはそういうナイーブな寝言に耳を貸さない。「他者」の刺激が必要だ。
自国すごいと言うヤツ、地元に引きこもるヤツ、自分だけのジャンルに引きこもるヤツは大抵ろくでもない。「他者」の刺激を求めないヤツ、「他者」に敬意を払わないヤツはくだらないヤツだ。他者とは言え自分のウチ側、自分の心に誰かを置かないヤツはさみしい。日本人でも能力の高い人ならゴロゴロいる。大勢に囲まれてる人気者もいる。けれど日本人は自分の心の中に誰かを置いているかい?わたしがほとんどの日本人によく感じるのは「胸の中に大切な人がいない」という空虚さ。
たとえキューブでも、培養鮪でも、ロジックを語っても、ここまでアツいなら情熱が伝わる。自分のウチに他者がいなければどう生きてもさみしい。わたしはこの情熱的な黒鮪キューブを自分のウチに入れておく。これを読むあなたのウチにも情熱的な誰かが居られますように━━🙏